不精鋭の論理
一般の商業オフィスへのコピー機の普及はほぼ100パーセントに近い状況ですが、このフラットベットタイプのスキャンシステムを導入した複写画像を見て、美しいと感動する人はいない筈です。このページではこの点について考え、画像創作の糧として活用できる知識を得たいと思います。
まず平面被写体を対象にカメラを水平に構え、フラットなライティングをセットしてコピー複写に近い状態で撮影した写真を用意します。次に同被写体をコピー機にかけて複写した物と前に撮影した物とを比較します。するとこの両者には歴然とした違いがあり、この違いが実は写真が写真として存在できる深い意味合いがあるのです。それはカメラを使った複写撮影後の画像は、カメラと被写体との間に必ず空気層があり、これには含有する物質が含まれています。この層に含まれる言わば不純物が影響して画像を不精鋭にし、目に柔らかな光の世界を作り上げているのです。つまり、鑑賞画像の要となるのは不精鋭を如何に作るかであり、それが写真を創作する上での非常に重要な意味となって機能するのです。写真を創作するには色々な技術を駆使します。例えば絞りの開閉であったり、ライティングやシャッターの速度調整であったりです。しかし、基本となるものを司るのは画像自体の不精鋭度の度合いや質であり、それをどのような方法によって作り出すかが写真の死活を制する部分であると言えるのです。下記に掲載の作品例は一見何の変哲もない一枚の画像に見えますが、実は果てしない写真道への追求の入り口を示唆する例とも言えるのかも知れません。敢えて題すれば「表現に於ける不精鋭の論理」と言ったところでしょうか。




